長女の拒食症克服♯8児童精神科を受診する | 『公認心理師』渡辺貴子トレーナー

長女の拒食症克服♯8児童精神科を受診する

余曲折のすえ入院先を自主的に退院して、ソーシャルワーカーさんや臨床心理士の先生に直談判し、新たな病院を紹介していただきました。

そこは国立大学附属病院の児童精神科。

外来専門です。

前の医師は

「国立大の精神科なんて悲惨だからこんな小さな女の子、僕は可哀想で勧められないなあ。絶対うちにかかってたほうがマシだと思うけどね!」

そう私に話していました。

「こんな医者、こっちから願い下げよっ!」

と思っていても、やはり権威ある人の言葉の影響力って大きいですね。

今度のところは、本当に大丈夫だろうか。

前よりも悲惨だったら?

大学病院ってことは、研究材料にされちゃうの?

今度は精神科だから、再び入院となったら何かあれば拘束とかもされるのよね?

でも、話を聞いてくれたソーシャルワーカーさんは、素晴らしい先生だとおっしゃってたよね?

でも、その先生は外来だけだって言ってたよね?

外来で行けるうちに、なんとか良い方向に持っていかなくちゃ…。

不安が新たな不安を呼び、どんどん不安は大きくなります。

未知の病院へ行くにあたって、娘はもっと怖かっただろうなと思います。

「ママ、お願いだから、もう入院はさせないでね」

娘には、そう懇願されていました。

治療関係(信頼関係)構築に努める医師

その先生は、とにかく「ただ、娘の話を聞く」

そういう先生でした。

食事の話や、栄養のこと、拒食症っていうのはね云々…、一切なし。

「こんにちは〇〇さん

どんなふうに、過ごしてた?」

娘の様子を見ながら、お話を深掘りしていく感じ。

淡々と、しかし興味を持って。

とってもニュートラルでした。

いいことも、そうでないことも、ウンウンと聞いてらっしゃってた。

「お嬢さんの心は、まえの病院でとても傷ついてしまわれた。

病院、医者に対する信頼を失ってしまっている状態です。

同じ医師として、親御さん彼女に対して申し訳ない思いでいっぱいです。

いまは、それを私たちが取り戻すことが大事だと考えています。

お母さんには歯痒く感じることもあるかもしれませんが、私たちは◯◯ちゃんの気持ちを尊重するところから始めます。

ただ、命は最優先です。ですから体重は、毎回計測します。

また、状況に応じて小児科の受診もお願いすることになると思います。」

私は、「よろしくお願いします」と深く頭をさげました。

この先生ならきっと、娘も安心して通える。

総合病院で、命も守れる。

そう安堵したのを覚えています。

それから3ヶ月ほど通院し、「拒食症を治す!」ということに対して何か良い影響があったか?と問われても、その時はあまり思い浮ばなかったと思います。

ただ、病院や医者に対する不信感を拭おうとされる関わりに

親として信頼と安心を感じました。

この安心感は、とても大きかったと思います。

そして私は、その時間を使って娘との関わりを工夫していくことに集中できました。

患者と医師との治療関係(信頼関係)って大切だな…と痛感しています。

「拒食症を治す先生=無理やり体重を増やそうとする先生」

娘の中では医師は戦う相手になっていました。

けれど、通院するうちに少しずつ変化していきました。

「今日は、この絵を先生に見せるんだ。約束したの」

「咲いた薔薇の写真を先生に見せてあげるんだー」

彼女にとってその先生は、いつの間にか戦う相手ではなくなっていました。

彼女の大切にしているものを大切にする関わりをしてくださっていたのです。

科学的根拠のある心理学で言われていること

何も知らない私たちは、権威ある医師の言葉を信じてしまいます。

「どんな子育てをしてきたの?」と問われれば、この病気を引き起こしたのは母親の責任なんだと自分を責めます。

「拒食症は治らない病気だよ」「繰り返す病気だよ」

「10年は続く病気だよ」「本人次第なんだよ」

そう言われれば、未来を悲観し希望を持って取り組むのは難しくなります。

あれから10年。

公認心理師の勉強をしていて目にしました。

心理の世界では、議論されてきたこと。

2006年にアメリカの心理学会で公表されていたこと。

「心理学におけるエビデンスに基づく実践」のガイドライン。


「心理学におけるエビデンスに基づく実践 (EBPP)とは、患者の特徴、文化、および志向性という枠組みのなかで得られる最新最善の研究エビデンスと臨床上の判断を統合させたものをいう。」

これって、どういうことかというと

エビデンスは大事だよ。そのエビデンスを念頭におきつつも、クライアントの特徴や文化、価値観(大切にしている考え方)そういった枠組みも踏まえたうえで、治療や心理療法の選択をしてねっていうことなんです。

要するに

クライアントが大切にしている考えや価値観、そういったものを大切にしようね。

そういうことです。

考えてみれば当たり前ですよね…

自分が相手に尊重されていると思えないのに、どんなにエビデンスがある治療だろうが、方針だろうが、やり方だろうが、それを受け入れようって心から思えないですもんね。

たとえ、理性でそれを理解しようと思っても、無意識は反発します。

ましてや拒食症や不登校で疲れ切ってしまったの心理状態ならなおさらだと思います。

※ちなみに、公認心理師は主治の医師の指示を受け、支援行為を行います。単独での医療行為は禁止されています。

そしてこれは、

カウンセラー、コーチ、セラピストにかぎらず

子どもをサポートする親にも言えることではないかなと思うのです。

まず、

目の前の相手が、何を大切に思っているのか。

目の前の子どもが、何を感じているのか。

そこを無視したまま、正論や知識や世の中の常識や、親の思いを一生懸命に語ったってうまくいくはずはないのです。

 

病院の先生にはアレコレ山ほど文句が出てくるのに^^;、まだまだ自分のことは見えてないお母さんでした。

そんなに簡単に自分のコミュニケーションの癖って抜けません。

癖が出ていることすら気づけません。

デフォルトになっちゃってるから。

気づける方法はひとつだけ。

娘を観察すること。

娘の反応を見て、気づいて修正していく。

だから、ひとつひとつの時間の積み重ねが、娘を理解する大切なものとなりました。

けれどすでに体重は22kgを下回ってる。

焦りは常に感じていました。