長女の拒食症克服記録♯1悲痛な叫びと母としての転換点 | 『公認心理師』渡辺貴子トレーナー

長女の拒食症克服記録♯1悲痛な叫びと母としての転換点

ママが大好き!ママが私を苦しめてるんだ!

限界体重になり、入院が決まりました。

▶︎娘が拒食症になりました⑨初めての入院

さて、病棟へ。

担当ドクターと娘の間で、さまざまな条件のやり取りがありました。

・トイレに行きたければ、点滴を受け入れ、食事をとる

・シャワーしたければ、点滴を受け入れ、食事をとる

・部屋(個室)から出たければ、点滴を受け入れ、食事をとる

他にもいろいろあったと思います…

娘は点滴の管や針を抜いてしまい、これまでも受け入れたことはありませんでした。

食事についても、入院して最初の食事は拒否したままでした。

「入院前に担当ドクターとした約束と違う!」

そう感じた娘が、治療の全てを拒否したのです。

精神科ではなかったからか?

彼女が拒否する以上、無理に食べさせることも、点滴をいれることも、ましてや経鼻経管栄養などをできずに、ドクターをはじめ、スタッフの皆さんが閉口していらっしゃいました。

昼前に病院に入り、昼食を拒絶、点滴を拒絶、晩ごはんを拒絶。

トイレをずっと我慢していて、彼女はもう限界に達していました。

目の前の冷めきった病院食を眺めながら、彼女はいいました。

「ママ、ママ、私はどうしたらいいの?」

「ママの言うとおりにするから、ママが決めて」

「あの人(ドクター)の言うことを聞くのは嫌だけど、もう、トイレが限界なんだよ…」

「ママは、本当は私に食べてほしい?」

「ママは、私に元気になってほしい?」

「ママの望むとおりにする」

「もう、ご飯食べる」

「ご飯食べて、トイレする」

「このまま、病気が治るまで、この病院で頑張るから、もうママ、これ以上泣かないで」

「ママのことが好きすぎて、ママ(の存在)が私を苦しめてるんだよ!」

「ママ、助けてよ…」

娘は私にすがりつくようにして号泣し、

そして苦しそうな顔で泣きながら

「美味しいね」と

自分に言い聞かせるようにしながら夕食をとりました。

そして

「もう、負けでいい…」

ベッドサイドのポータブルトイレで泣きながら用を足しました。

長女は涙いっぱいの目で私に微笑んで見せ

「もう大丈夫。明日から頑張るからね。」と。

私は娘を残し、病院を後にしました。

どうすることもできずに、

言葉すら掛けられずに、

泣いて娘を抱きしめるだけの私に、

泣き叫びながら娘が放った言葉が頭から離れませんでした。

それはまるで、魂の叫びのようでした。

この日の夜の出来事が、深い深い反省とともに、母親としての自身の在り方が大きく変わる転換点となりました。

わたしは、どれだけ独りよがりだったんだろう。

どれだけ私自身の心配や辛さ、不安を娘に垂れ流していたんだろう。

どれだけ私の感情のお世話を娘に課していたんだろう。

どれだけ、娘の前で泣いていたんだろう。

病院の駐車場。

車の中で私はしばらくの間、嗚咽しました。

情けなくて、申し訳なくて、不甲斐なくて、愛おしくて、助けたくて、力が欲しくて、乗り越えたくて

いろんな感情がごちゃまぜの涙でした。

そして私はこの夜、初めて娘の本当の苦しみに触れた気がしたのです。

この日を境に、泣き虫ママだった私は、娘の前で泣くことがなくなりました。